レセコンとは?
導入メリットや選び方、電子カルテとの違いなどを解説
レセコン(レセプトコンピューター)は、診療報酬の請求業務を効率化するために欠かせないシステムです。本記事では、レセコンの概要から電子カルテとの違い、種類、選び方や導入のポイントまでを詳しく解説します。
レセコン (レセプトコンピューター)とは
レセコン (レセプトコンピューター)とは
レセコン(レセプトコンピューター)とは、レセプト(診療報酬明細書)を自動で作成するシステムコンピューターのことを指します。医療機関では月に1度、医療費を請求するために健康保険組合に提出するレセプトを発行しなければなりません。レセコンの使用によって、レセプトの作成が自動化されるほか、事務作業の効率化が期待できます。
レセコンの普及率
社会保険診療報酬支払基金の「レセプト請求形態別の請求状況(令和5年度)※」によれば、病院・診療所・調剤薬局でのレセコン普及率は96.2%となっています。中でも400床以上の大規模病院の普及率は99.3%、調剤薬局では99.1%と100%に近い数値で医療機関に導入されています。また、400床未満の中小規模の医院やクリニックでも79.1%と8割近い数値となっています。
出典:レセプト請求形態別の請求状況(令和5年度)
レセコンでできること
レセコンでできることは以下のとおりです。
・レセプト(診療報酬明細書)の作成
・診療内容の登録と点数計算
・処方箋の発行
・受付/請求業務の管理
・電子カルテとの連携
レセコンを導入することで医療事務の負担や作業ミスの軽減などが期待できます。
レセコン の導入メリット
レセコン の導入メリット
レセコンを導入するメリットは以下のとおりです。
正確 に診療報酬を計算できる
レセコンのシステムには最新の診療報酬データが組み込まれているため、自動で正確な診療報酬の計算ができます。記入漏れや計算間違いといった人的ミスを防ぐことができるのです。また、2年ごとに行われる診療報酬制度の改訂内容がシステムに反映されるので、誰でも常に最新の制度に則ったレセプトを作成することができます。
業務 効率化につながる
複雑で手間のかかるレセプト作成を大幅に効率化することができます。スタッフの作業工数が減るので、その時間を別の業務に充てて、患者サービスの向上に図ったり、残業時間の削減で人件費の軽減にもつながるでしょう。ミスや間違いの許されないレセプト作成が自動化できることは、スタッフの精神的な負荷軽減にもつながります。
患者さんの満足度が向上する
会計をはじめとする事務作業が効率化されることで、患者さんの待ち時間が短縮されます。その結果、患者さんの満足度が向上するだけでなく、病院やクリニックの回転率が良くなることにもつながります。
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レセコンと電子カルテの違い
レセコンと電子カルテの違い
レセコンと似ているものとして、電子カルテがあります。いずれも医療機関で利用される重要なシステムですが、その目的と機能は異なります。
電子カルテは、患者の診療記録を紙ではなく電子的に管理するシステムです。医師や看護師などの医療従事者が、患者の問診内容、診察所見、処置内容などを記録していきます。電子カルテには法的な位置づけがあり、医療法で電子保存が義務付けられています。
対するレセコンは、診療報酬の請求業務を支援するシステムです。レセコンと電子カルテはデータを連携させて利用することが一般的であり、電子カルテで記録された診療行為がレセコンに送られ、レセプト作成の基礎データとなります。昨今では両者が一体化されているシステムもあるため、導入の際は検討してみるとよいでしょう。
レセコンの種類とメーカー
レセコンの種類とメーカー
レセコンには、電子カルテの機能も入った一体型、別々の機能を持つ分離型などの種類があります。また、メーカーについても、大きく日医標準レセプトソフト「ORCA」と、それ以外のメーカーのレセコンに分けられます。ここではレセコンの種類とメーカーについて、詳しく解説します。
レセコン・電子カルテの一体型・分離型
レセコンには、電子カルテとの連携の仕方によって、「一体型」と「分離型」があります。大きな違いは電子カルテとレセコンの操作が1つの端末で完結するかという点です。一体型のレセコンは電子カルテとレセコンが一体になっているため、使用する際に2つのソフトを立ち上げる必要がなく、操作の手間が大幅に減ることがメリットです。対する分離型は、すでに電子カルテが導入されている場合、新たにレセコンの機能のみを追加すれば済むことから導入費用が安く抑えられる可能性があります。
分離型、一体型には、それぞれメリットやデメリットがあります。両者の違いについて、下表にわかりやすくまとめました。
レセコンのメーカー
レセコンは日医標準レセプトソフト「ORCA」と、それ以外のメーカーのレセコンに分けられます。「ORCA」は日本医師会が開発した標準レセプトソフトであり、全国の医師はもちろん、医療に携わる全ての人が無料で利用・改良できるようにプログラムが公開されているのが特徴です。一方で、ORCA以外のレセコンは販売元のメーカーによって機能や特徴、サポート内容が異なるため、前もって比較検討することをおすすめします。
レセコンの選び方・導入のポイントは?
レセコンの選び方・導入のポイントは?
ここではレセコンの選び方や、導入のポイントについて解説します。
使いたい電子カルテと連携できるか
現在すでに電子カルテを導入している場合、レセコンと連携できるかどうかを確認しましょう。連携させずに使用することもできますが、レセコンと電子カルテを連携させることで、受付から会計業務までの情報を一元管理することが可能です。なお、それぞれのシステムを導入する分離型の場合は、レセコンを先に選ぶことをおすすめします。その理由として、レセコンはデータ移行がしやすいほか、別のレセコンに変更する場合であっても作業負担が少ないことが挙げられます。
求める機能と性能があるか
レセコンには、レセプトの作成や領収書の作成、処方箋の発行をはじめ、さまざまな機能があります。そのため、自分のクリニックの規模や診療科目、請求業務のワークフローに合わせて、必要な機能を備えたレセコンを選ぶことが重要です。また、処理性能についても、診療件数や請求件数に見合った十分な能力を持つレセコンを選ぶようにしましょう。業務処理が遅れると業務に支障をきたしてしまうことから、性能面で比較検討することも大切です。
医療事務の担当者が操作しやすいか
レセコンの最終的な利用者は多くの場合、医療事務の担当者です。操作性の良さは、業務効率や人的ミスのリスク低減につながります。操作画面のわかりやすさはもちろん、入力の手軽さや業務フローに沿ったUI設計など、担当者の作業負担を軽減できる仕様になっているかどうかは重要な選定ポイントです。
実際の操作画面を確認したり、同規模の医療機関でレセコンを利用している方の意見を参考にしたりするのもよいでしょう。導入後のスムーズな運用のためにも、操作性に優れたレセコン選びを心掛けることが大切です。
トラブル時のサポート体制
特に初めてレセコンを導入する場合、使い方に苦戦することもあるでしょう。使い方に慣れるまで質問ができるなど、サポート体制が整っているシステムであれば、安心して使用できます。また、万が一トラブルが生じた場合に、迅速に対応してもらえるかどうかも大切なポイントです。障害発生時のホットライン対応、技術者の派遣、定期的なメンテナンスなど、障害対応の実績と体制が整っているかを事前に確認しておくとよいでしょう。復旧までに時間を要してしまうと、患者に迷惑をかけてしまう恐れがあるため注意が必要です。
まとめ
まとめ
医療機関の診療報酬に関する事務作業を効率化するために欠かせないレセコンですが、種類やメーカーによって特長や機能はさまざまです。導入する際には、メリット・デメリットを十分に考慮するとともに、本記事でご紹介した「選定・導入のポイント」を参考に、自院に最適なレセコンを選定するようにしましょう 。
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監修者情報
監修:中路 幸之助
経歴:1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。
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