健康寿命とは?延ばす5つの秘訣やすぐできるセルフチェックを解説
多くの方が「できるだけ長く、元気に人生を楽しみたい」と願っていることと思います。その鍵となるのが、心身ともに自立して過ごせる期間を示す「健康寿命」です。日本では平均寿命が伸び続ける一方、健康に問題を抱えながら過ごす期間が約10年前後存在しており、健康寿命の延伸が大きな社会的課題となっています。
この記事では、健康寿命の基本的な考え方から、日々の生活でできる予防策、地域による取り組みの違いなど、幅広く解説します。自分や家族の将来に向けて、今日からできる健康づくりのヒントを学んでいきましょう。
健康寿命とは?平均寿命との違いをわかりやすく解説
健康寿命とは?平均寿命との違いをわかりやすく解説
まずは、健康寿命とは一体どんなものなのか、その定義と、混同されやすい「平均寿命」との違いについて解説します。
健康寿命の定義|今なぜ延伸が求められるのか
「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間を指します。単に寿命の長さではなく「どれだけ元気に、自立して生活できるか」を示す指標であり、人生の質を考えるうえで非常に重要です。
近年、健康寿命の延伸が強く求められている背景には、いくつかの社会的要因があります。まず、日本では平均寿命が世界でもトップクラスに長い一方で、介護やサポートが必要な期間が長いことが課題となっています。本人や家族の生活負担だけでなく、医療・介護費の増大を避けるためにも、健康寿命を伸ばす取り組みが不可欠なのです。
また、高齢化が急速に進む中で、「いくつになっても自立して暮らす」「地域の中で役割を持って過ごす」といった生活の質を重視した価値観が広がっていることも、健康寿命への関心が高まる理由の1つです。
平均寿命との違い|男女別の具体的な差とは?
「平均寿命」は生まれてから亡くなるまでの平均年数です。一方で、「健康寿命」は日常生活に制限のない元気な期間を指します。両者の差が大きいほど、「介護や支援が必要な期間」が長くなることを意味します。
令和4年の統計では、男女ともに平均寿命と健康寿命の間には10年前後の差がありました。(男性:8.48年、女性:11.64年)この差は、ほとんど変わっていません。
健康日本21では、令和22年(2040年)までに、平成28年(2016年)よりも健康寿命を3年伸ばすことが目標とされています。
健康寿命を延ばすには?今日からできる5つの生活習慣
健康寿命を延ばすには?今日からできる5つの生活習慣
健康寿命を延ばすためには、正しい知識を持って、よい生活習慣を維持していくことが大切です。生活習慣を改善するための、5つのポイントをご紹介します。
①食事 ― 栄養バランスと実践のコツ
健康寿命を延ばすための基本は、毎日の食事です。主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事をとることや、野菜・果物の摂取量を増やすことなどが目標とされています。
また、塩分の過剰摂取も大きな課題です。目標となる塩分摂取量は、男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満ですが、令和元年の調査では日本人は1日平均10.1gの塩分を摂取していることがわかりました。減塩調味料の活用、ラーメン等のスープを飲み干さない、加工食品や漬物の摂取頻度を減らすなどの工夫をしましょう。
②運動 ― フレイルを予防し、心身を活性化
定期的な運動は、フレイル予防や心肺機能の維持に大きく貢献します。スポーツジムなどに通っての激しい運動は必要ありません。
日常生活の中で、以下を参考にしながら、少し息が弾んで汗ばむ程度の運動を取り入れるようにしましょう。(※持病のある方は、かかりつけ医と相談のうえ、無理のない範囲で調整してください。)
- 64歳までの方は1日8,000歩、65歳以上の方は1日6,000歩の歩行
- スクワット・かかと上げなどの自重トレーニング
- ラジオ体操
- ヨガ
- バランス運動
筋力やバランス感覚を保つことで、骨密度を維持する、糖尿病や心血管疾患の発症リスクを低下させるといった効果が期待できます。運動習慣は、健康寿命を伸ばすための、大切な土台です。
③睡眠 ― 質の高い休息で心身の健康を育む
睡眠においては、十分な質と長さを確保することが大切です。睡眠不足が常態化すると、単に疲労感や集中力の低下を招くだけでなく、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、認知症、うつ病などさまざまな疾患のリスクが高くなります。
しかし、国民健康・栄養調査では、日本人の平均的な睡眠時間は短縮傾向であり、睡眠の重要性を周知していかなければなりません。とくに問題視されているのが、勤労世代においては睡眠不足(6時間未満)、高齢世代においては床上時間の過剰(8時間以上)が挙げられます。
ただし、高齢者の睡眠には個人差が大きく、問題となるのは“日中の活動量の低下とセットで床上時間が長くなる場合”です。単に睡眠時間の長さだけで判断せず、日中の運動量や生活リズムも含めて調整することが大切です。
自然な変化として、加齢とともに、夜間に実際に眠ることのできる時間は徐々に短くなります。高齢の方は、若い頃と同じだけの睡眠時間を確保することを目指すのではなく、「よく寝た」という感覚を大切にしましょう。長時間の昼寝は避け、日中によく体を動かすことも、睡眠の質を高めるために重要です。
そのほか、睡眠の質を高めるための工夫として、寝室の環境づくりが挙げられます。寝室は暗く静かで、適度な湿度(50〜60%)と温度(夏は26℃前後、冬は18℃前後)を保ちましょう。カフェインの摂取は睡眠の質を低下させますので、夕方以降は摂取しないようにしてみてください。
④生きがい・人とのつながり ― 心と脳の健康を育む社会参加
健康寿命には「心の健康」「脳の健康」も欠かせません。社会的なつながりの希薄な高齢者は、そうでない高齢者と比較して要介護となるリスクが1.66倍、死亡リスクが2.69倍です。
趣味活動、ボランティア、地域サークルへの参加など、社会とのつながりを持つことは、ストレスの軽減や認知症予防にも大きな効果があることが知られています。
特に高齢期では家族内や社会での「役割」を持つことが生活のハリを生み、心の安定や意欲向上につながります。週に1回以上「誰かと交流する」かつ、月に1回以上「目的を持った活動に参加する」のを目安として、家族や近隣の方との交流を持つようにしてみましょう。
⑤定期的な健康チェックと予防医療の活用
健康寿命を延ばすうえで欠かせないのが、早期発見・早期治療です。
メタボリックシンドロームや生活習慣病の発見を目的とした特定健康診査(40〜74歳)をはじめ、がん検診、歯科検診、後期高齢者(75歳以上)向けの検診などを定期的に受けましょう。問題点を早く発見し対策をとることで、健康寿命を伸ばすことができます。
特定健康診査で問題点の見つかった方は、保健師による「特定保健指導」を受けることも可能です。具体的な目標設定や、改善のための計画などをサポートしてもらえます。
メディカル ジャパン 内【未病・予防・健康EXPO】には、健康増進・フレイユ予防・口腔ケアなど、
健康寿命を延ばすための製品・サービスが多数出展。
健康寿命を「見える化」!自分の健康状態をチェックする方法
健康寿命を「見える化」!自分の健康状態をチェックする方法
ご自身が現在健康なのかどうか、簡易的にチェックする方法をご紹介します。
簡易チェックで現状把握!フレイル度診断から健康の第一歩
フレイルは、高齢者が加齢に伴って心身の活力が低下し、健康障害や要介護状態に陥る危険性が高まっている状態で、「介護の手前」というイメージです。
次の項目について、「はい」「いいえ」でチェックしてみましょう。黄色が1つでもある方は、フレイルの可能性があります。
ここで示した項目は、フレイル傾向を簡易的に把握するためのスクリーニング項目です。厚生労働省の『基本チェックリスト(25項目)』や、国際的に用いられる『FRAIL尺度(5項目)』とは内容が異なりますが、まず自分の状態を知るための簡便な目安として活用できます。
厚生労働省が作成した資料では、より詳細にフレイルのチェックをおこない、対策について学ぶことができます。
健康診断結果の読み解き方と具体的な目標設定のヒント
実際に「自分にはどのような対策が必要なのだろうか?」と考えたときに、確認したいのは検診の結果です。ここでは、特定健康診査で調べる検査項目に沿って、生活改善のポイントをお伝えします。
いずれの項目も、生活習慣の改善だけでなく、必要に応じて医療機関を受診し、治療を開始しましょう。
【身体測定】
身長と体重から計算されるBMIや、腹囲は、適正範囲内でしょうか?BMIが高い、あるいは腹囲が大きいという方は、メタボリックシンドロームの可能性があります。摂取カロリーが多すぎないか、栄養のバランスは整っているかなど、食事の内容を見直してみるとよいでしょう。
【血圧】
血圧の高い状態が続くと、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった大きな病気のリスクが高くなります。
年齢や持病の有無などにより一人ひとりの目指す血圧の目標値は異なりますが、基本的には「140/90mmHg以上」は高血圧として治療の対象となる値です。血圧が高めの方は、減塩を意識するようにしましょう。また、適度な運動は血管の柔軟性を向上させ、血圧の適正化に役立ちます。
【コレステロール値】
とくに、「LDLコレステロール」に着目しましょう。LDLコレステロールが高いと、動脈硬化が進みやすくなるため、140未満に抑える必要があります。糖尿病や心臓病のある方、脳梗塞や心筋梗塞になったことのある方などでは、より厳しいコントロールが必要です。
コレステロール値の改善も、食事や運動の見直しが基本となります。清涼飲料水やアルコール、甘いもの、揚げ物などを多く摂取している方は、量や頻度を減らしましょう。
【血糖検査】
過去3か月程度の期間の血糖コントロールの良し悪しの指標となるのが「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」です。この値が5.7〜6.4%の方は、「境界型」、つまり糖尿病の予備軍の状態といえます。野菜の摂取を増やすこと、禁煙、体重を落とすこと、散歩などできる範囲で運動を始めることが大切です。
かかりつけの医療機関がある方は、検診結果について医師に伝えましょう。
地域差から学ぶ:都道府県別健康寿命の現状と先進事例
地域差から学ぶ:都道府県別健康寿命の現状と先進事例
都道府県によって、健康寿命に差があるのが現状です。格差の実態と、健康寿命延伸のための自治体の取り組みについてご紹介します。
あなたの地域は?都道府県別健康寿命の傾向と特徴
令和4年の都道府県ごとの健康寿命について、上位と下位のみ抜粋しました。都道府県によって、最大で2〜3歳ほどの健康寿命の差が見られます。
健康寿命 |
||
男性 |
女性 |
|
1位 |
静岡県(73.75歳) |
静岡県(76.68歳) |
2位 |
石川県(73.60歳) |
山口県(76.43歳) |
3位 |
山梨県(73.47歳) |
岐阜県(76.20歳) |
45位 |
沖縄県(71.62歳) |
神奈川県(74.71歳) |
46位 |
高知県(71.19歳) |
沖縄県(74.33歳) |
47位 |
岩手県(70.93歳) |
岩手県(74.28歳) |
都市部は高く、地方では低いといった単純な結果ではありません。
健康寿命が長い地域では、住民の健康習慣が定着しているほか、自治体が地域包括ケアや介護予防施策に積極的に取り組んでいる点が特徴です。また、通いの場の数や参加率、特定健診の受診率、企業の健康経営への参加状況、地域ごとの食文化なども、差を生む要因となっています。
健康寿命が長い県の具体的な取り組み事例
健康寿命が男女ともに全国1位の静岡県の取り組みを紹介します。
静岡県では、「健康マイレージ制度」を導入しています。日々の運動や食事といった生活改善、健康診断の受診、健康講座やスポーツ教室、ボランティア等の社会参加など、市町で決定した健康づくりメニューをおこなって、「ふじのくに健康いきいきカード」に記録することで、特典を受けられる制度です。
市町によっては6歳以上などの若い年代から参加でき、全年代で健康を意識した暮らしができるように工夫されています。
また、「ふじのくに健康いきいきカード」を持っていると、協力店で以下のようなサービスが受けられるため、参加のモチベーションが上がりやすいのが特徴です。
- ドリンク1杯無料
- 特定の日に割引サービス
- お店のポイントカード加算
- ティッシュやマスクなどのプレゼント
そのほかにも、健康優良企業の表彰、働く人の生活習慣改善プログラム、「しずおか健幸惣菜」の提供なども実施しており、企業を巻き込んだ取り組みが盛んです。
国の戦略:健康寿命延伸に向けた「健康寿命延伸プラン」と主要施策
国の戦略:健康寿命延伸に向けた「健康寿命延伸プラン」と主要施策
国としては、健康寿命の延伸のためにさまざまな計画を立案しています。
「健康寿命延伸プラン」が掲げる3つの重点目標とは
2019年に策定された健康寿命延伸プランでは、以下の3つの分野の取り組みを推進し、2040年までに2016年と比較して健康寿命を3年以上延伸すること(男性75.14歳以上、女性77.79歳以上)を目標としています。
①次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成
- 自然に健康になれる環境づくり
- 食環境づくり(食塩摂取量の減少など)
- 妊娠前〜妊産婦の健康づくりを通した、低出生体重児の減少
- 子育て世代包括支援センター設置
②疾病予防・重症化予防
- 健診や検診の受診勧奨(特定健診実施率70%以上など)
- 医学的管理と運動プログラム等の一体的提供
- 歯周病等の対策の強化(咀嚼良好者の割合80%以上など)
- 慢性腎臓病診療連携体制の全国展開で、新規透析導入者を減らす
③介護予防・フレイル対策、認知症予防
- 「通いの場」の更なる拡充と参加率の向上
- 健康支援型配食サービスの推進等
- 高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施
環境づくりや、行動変容を促す施策の実施などを通して、健康寿命の延伸が目指されています。
自治体・企業・国民が連携する重要性
健康寿命を延ばすには、国の施策だけではなく、自治体・企業・住民が一体となって取り組むことが不可欠です。
【自治体の役割】
自治体は、地域の特性に応じた健康施策を計画的に進める中心的な存在です。特定健診や介護予防事業、通いの場の整備、地域包括ケア体制の構築など、多様な事業を担います。
都道府県ごとに健康寿命に差があることが示されており、自治体ごとの特色に合わせた施策を立案することが重要です。
【企業の役割】
就労世代では、生活習慣病のリスクが高まる一方、予防に時間を割きにくい現状があります。企業には、健康経営、職場の健診やストレスチェックの充実、禁煙・運動促進など、働きながら健康づくりができる環境を整えることが求められます。
【住民(国民)の役割】
個人の生活習慣が健康寿命に与える影響は大きく、一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組むことが不可欠です。
自治体や企業のおこなう取り組みに積極的に参加しましょう。食事・運動・睡眠など生活習慣の改善、定期的な健診受診などが、フレイル予防や健康維持につながります。
健康寿命に関するよくある質問(FAQ)
健康寿命に関するよくある質問(FAQ)
何歳から健康寿命を意識すべきですか?
健康寿命は若いころからの生活習慣に大きく影響を受けるため、何歳からでも意識し始める価値があります。特に40代以降は生活習慣病や体力低下が進みやすいため、早い段階から運動・食事・睡眠などを整えることが、将来の差につながります。
持病や既往症があっても健康寿命を延ばせますか?
はい。持病があっても、適切な治療と生活習慣の改善によって症状の進行・悪化を防ぎ、元気に過ごせる期間を延ばすことはできます。かかりつけ医と相談しながら、無理のない範囲で対策を続けることが大切です。
まとめ:メディカルジャパン展示会で最新情報を体験!
まとめ:メディカルジャパン展示会で最新情報を体験!
健康寿命を延ばすことは、単に長生きするだけではなく、人生の質を高め、家族や社会全体の負担軽減にもつながります。食事・運動・睡眠といった日々の生活習慣を整え、社会参加や定期的な健診を続けることが、健康寿命の延伸に直結します。
また、自治体による介護予防施策や国の健康寿命延伸プランなど、社会全体で支える仕組みも広がっています。自分の状態を知り、できるところから一歩ずつ取り組んでいきましょう。
メディカルジャパン展示会では、健康管理のための機器や設備・サービスなどを幅広く取り扱っています。自治体関係者の方、医療機関の方などのニーズに合うものを多数ご用意しておりますので、ぜひ足をお運びください。
メディカル ジャパン 内【未病・予防・健康EXPO】には、健康増進・フレイユ予防・口腔ケアなど、
健康寿命を延ばすための製品・サービスが多数出展。
監修者情報
監修:小幡 史明(おばた ふみあき)
性別:男性
経歴:自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人幸裕会 天下茶屋内科クリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科
研究分野:
第23回 ファイザーヘルスリサーチ振興財団研究助成 国内共同研究(満39歳以下)
第34回 徳島医学会賞
第112回 日本内科学会総会・講演会優秀発表者賞
A case of rapid amelioration of hepatitis C virus-associated cryoglobulinemic membranoproliferative glomerulonephritis treated by interferon-free directly acting antivirals for HCV in the absence of immunosuppressant
所属:
・医療法人在宅会 みんなのクリニック 理事長
・医療法人静可会 三加茂田中病院
専門領域:
・医療 > 内科 > 総合内科
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