医療DX、日本はガラパゴス 標準化を 藤田医科大病院・白木氏
「メディカル ジャパン 大阪」講演より
医療DX、日本はガラパゴス 標準化を
藤田医科大病院・白木氏
「メディカル ジャパン 大阪」講演より
3月に大阪市で開催された「メディカル ジャパン 大阪」(主催:RX Japan)における、病院経営のヒントになる4つの講演をCBnewsは連載してきた。最終回は、数多くのDXを導入する愛知県豊明市の藤田医科大学病院長(当時)の白木良一氏を紹介。白木氏は日本の医療DXについて「かつての携帯電話のように電子カルテなどの仕組みはガラパゴス化してしまっている」と指摘し、「標準化を進めて普及させ、電子カルテから事務系のシステムまで一気通貫を意識することが重要」と強調した。
1例が電子カルテだ。ベンダーによって規格はばらばら。「電子化が日本独自のものになってしまっている」(白木氏)という。同病院では、地域医療連携システムを導入し、電子カルテを共有する。ただ、白木氏は「前方連携については、なかなかプラットフォームとして均一化することが難しい」と語った。病院と診療所での電子カルテの機能に違いがあることに加え、紙やCD-ROMといった物理的なやりとりがいまだに行われている。
白木氏は「電子カルテ、オーダリング、会計、それぞれ別のシステムで全然かまわないという考え方では、システム間で連携は取れない」とし、標準化の重要性を説いた。
近年相次いでいる医療機関へのサイバー攻撃についても、白木氏はセキュリティーでのガラパゴス化を心配する。「厚生労働省も含め国を挙げて、暗号化技術の設計などに取り組む必要があるのではないか」と語った。
「スマートホスピタル実現に向けた施策と現場の対応、今後の課題」をテーマとした今回の講演では、同病院における生成AIの活用も紹介。28診療科が医師の働き方改革の一環として取り入れている。電子カルテからのサマリー作成などに使っており、9割以上の医師が生成AIに満足しているという。
多くの診療科で生成AIを使うことで、サマリー作成以外の活用も見えてきた。白木氏によると、パターン化が可能で単純な繰り返しの作業、画像の評価は非常に得意であるが、ばらつきのあった事象、曖昧な事象、臨機応変に対応が必要なものに関しては不向きという。「使っていくとさまざまな方向に用途は広がっていく」としながら、白木氏は「誤診につながらないよう、診察に関して医師はAIを参考として使ってほしい」と話した。
このほか講演では、ロボット支援手術についても触れた。同病院に新しいロボットが入ると医師はすぐに研修センターで練習できるようになっているという。白木氏は「手術技術は先輩を見ながら学んでいたものから、ログから学んでいく時代になってきた」と強調した。
【CBnews取材記事より引用】